八月、とある寄席の仲入り後に女性の二ツ目が九人(つくし・ぼたん・こみち・ちよりん・粋歌・美るく・ぴっかり・歌も女・扇)順番に出演、余った一日は一番上のつくしさんがもう一日出演し、その後三遊亭歌る多四日間・林家きく姫・菊千代が三日間の出番で上がり、続いて二ツ目さんとトリの師匠がトークをするという企画がありました。「女子落語を聴く」と言う、トリの師匠の斬新かつユニークな企画です。いまや、わが落語協会だけでも、真打三人、二ツ目九人、前座(まめ緑・なな子・つる子)見習い合わせて五人、計十七人も女の噺家がいるという時代です。マンガや小説でも当たり前のように女の子が落語の修業をしている題材のものが有ったり、アイドルが落語を覚えてCDを出したり…と本当に時代って変わるものだなあとつくづく感じます。
ただ、私は三日間、楽屋にいただけなのですべてとは言いませんが、 トリの師匠の男性目線での二ツ目女史とのトークは『やっぱり落語界は変わっていないのだなあ』と思い知らされるものでした。しかも、上下関係の世界を背負い、うまく言い返せない下の立場の女子とのトークは、名司会者の○○○○さんのように誘導してその言葉を言わせるというようなことはありませんが、とても女性二ツ目を一人の芸人として尊重しているようには思えませんでした。いまさら『女はそれが大変だよねえ』とか「女が武士を演じるのは…おかみさんは男の方が…」とか、もっとすごいのは「女の噺家の誰を目標に入ってきたの?」、結婚して赤ちゃんの生まれた女性には搾乳の話までさせて「亭主しっかり働かせて頑張ってね」などという、時代錯誤も甚だしい一方的なトーク。まあ、女性噺家の出番を多くしてくださる企画はありがたいので、その時もし嫌な思いをした二ツ目さんがいたとしたら、まだまだこういう男性陣がたくさんいる世界で修業をしているのだということを肝に銘じて、それをバネに、新たに精進の決意を燃やしてほしいものだと思いました。