いま全国で、手話を日本語の言語として認め、そして手話を普及し理解の促進を促す『手話言語条例』が公布、施行されています。
東京都は遅れてはいますが、荒川区、江戸川区、そして昨年暮れに豊島区でも条例が成立、今年4月1日より施行されることになりました。私はこれを機会に、今までのように聴こえない人に落語を楽しんでいただくためのものではなく、一般の方々に広く手話を知っていただき興味を持っていただく、あくまでも楽しみながら少しでも手話を学んでいただくためのものとして「手話と一緒に楽しむ落語」を寄席でかけさせていただきたいと思い立ち、今年初めに寄席お席亭へのお願いとして企画書を作りました。
筋道として落語協会事務局長へ企画書を出しましたが、未だ事が進まないことに歯がゆさを感じます。寄席にお越しいただくお客様に少しでも手話を理解していただくことができたら、手話を学ぼうというきっかけになってくれたら、手話を使って会話している方々への理解が増えたら、と思うのですが、わかっていただけないのか、単に動いていただいていないのかとても残念な思いです。
先日バス旅行に参加しました。時々案内が来る6000円弱で1日バス旅ができるもの、観光の合間に立ち寄るお土産屋さんや、ワイナリー、○○工場見学などでのお買い物で売り上げにして採算を取っているのでしょう。とてもリーズナブルで、場所によってはすごく得した気分、気分転換になるのでたまに参加します。先日も信州の旅に参加したら、上田城が桜満開で素晴らしく、またキノコ栽培場のレストランでの食事やキノコの販売も生で食べられるエノキなど珍しいものが安く買えてとても良かったです。そんな安い企画なので添乗員は旅行会社の営業マン、バス二台兼務で下車地ごとに乗り換えて説明するという忙しさです。下手に期待しないので、少々ぞんざいな口の利き方も態度も腹が立ちません。根多が見つけられたらラッキーと私はいつもワクワクしながら乗っています。
その信州の旅の時、最初のトイレ休憩で集合時間に遅れたお客様が二人いました。先に戻っていらした女性に添乗員がお連れさんは?と強い調子で聞くと「トイレ」と答えました。その声の調子で何となく聞こえない人では?と注意して見ていると戻って来た友人と手話で話していました。
次の下車地で添乗員に「余計なことかもしれませんが、さっき遅れた二人は聞こえない人みたいだから集合時間がわからなかったのでは?」と聞くと「ああ、わかってますよ、大丈夫」と迷惑そうな返事。それでお二人に拙い手話でお手伝いしますか?と聞くと、やはり説明が聞こえていないので集合時間もわからないとの事。メモ一枚渡してあげれば済むことなのに…。そのあと、下車のたびに私が手話で時間などを連絡しているのを見ても、他のお客さまも添乗員も無反応、逆に外国人でも見るような態度でした。ただ、それは皆が無関心だったのではなく手話を知らない、障害に対して意識がないからだけのこと。是非もっと想像を、理解をしていただきたいと痛感いたしました。
今日本中で手話を日本の言語として認めようという条例が制定されているこの時こそ、寄席で手話を使った落語をやらせてもらいたいのです。手話は外国語ではないのです。日本語です!ご理解を深めるために寄席のお席亭や落語協会に理解していただくよう、これからも頑張ります‼