「落語のいろは」

今さらながらではありますが、落語まめ知識をご披露いたします。ちょいとお付き合いください。
落語には
古くから伝えられている「古典落語」と「改作落語」「新作落語」があります。古典落語は江戸時代から明治・大正期に作られたものを指すのですが、昭和初期の作品でも、多くの演者が手掛けてもう古典と言っても良いものもあります。噺自体に著作権はありませんが、高座にかけるためにはその噺をすでに持ち根多にしている師匠に稽古をつけてもらい許しを得なくてはならないという口伝のルールがあります。

古典落語
古典落語には笑わせる事を主眼においた滑稽噺(中で分類すると長屋噺・与太郎噺・お店噺・居候噺・廓噺・旅噺)と人情の機微を描く人情噺(有名なのは文七元結・芝浜など、歌舞伎やお芝居にもなっています)、そして怪談噺(真景累ヶ淵・死神など)があります。

改作落語
古典の噺を時代に合わせて大幅にアレンジしたもの、それが現在に至っては古典として演じられている噺もあります。

新作落語
新しく作られた噺の事です。現在は女性の噺家も斬新な新作を自作してお客様を笑わせています。
落語家になるには
自分の師事したい師匠にお願いして弟子にしてもらうことが必須です。入門が一日でも遅いとおとうと(いもうと)弟子、年齢は関係ありません。寄席の中でも一門は関係なくその香盤順で上下関係が決まります。東京は真打制度があるので身分は見習い→前座→二ツ目→真打となります。
上方は長い間寄席形式の小屋がなかったので、師匠のお宅でそれぞれ修業をし、外に出て良いと許しが出ることを「年季があける」といい、それ以降は当人の努力有るのみ、いつしか師匠と呼ばれる日が来ます。真打制度はありません。真打昇進披露は無く、襲名披露は派手に行います。

落語界の専門用語
知っておくと面白くなる用語をご紹介します。噺の数え方は一席、演者の名前を書いた紙をめくり、前座が座布団を返しめくりをめくることを高座返しと言います。落語は舞台ではなく高座と呼びます。、前座以上の噺家にはそれぞれ高座に上がるときに演奏される出囃子があり、それは自分で決めます。その出囃子の三味線を弾く人をお囃子のお師匠、または下座さんと言います。
太鼓は前座が叩きます。太鼓を上手に叩くようにするのも修業の一つです。上方は基本的に前座という身分が無いので高座返しを専門にするお茶子さんという女性がいます。太鼓はその都度、あらかじめ決めたメンバーで叩いているようです。開場とともに叩く太鼓を一番太鼓、開演5分前に叩くのが二番太鼓、休憩は仲入りと言いますがその時に叩く仲入りの太鼓と最後に叩くのを追い出し太鼓と言います。めくりの文字は独特で寄席文字と言い、専門的に書いてい
る橘流一門にお願いします。手品・曲芸・曲独楽・漫才・音曲漫才(漫談)・俗曲・物まね・紙切 りなど、落語以外の芸種の方たちを色物と言います。寄席ではトリの前をヒザと言いますが、ヒザには色物さんが出ることが多いです。トリはもちろん最後の高座を務める人。主任と書いてトリと読みます。自分の会以外は主任を取るのは真打です。
寄席は1か月を3つに分け、10日ごとにプログラムが変わります。1日から10日までを上席、次の10日間を中席、最後の10日間を下席、31日は余一と言って特別興行をすることが多いです。それぞれ10日間の内、一日目が初日、五の日が中日、十日めが千秋楽と言いますが、この字は書かず秋を穐と置き換えて千穐楽と書きます。火事を気にして縁起を担いでいるのです。
古今亭や柳家など氏名で言うと苗字の部分を亭号と言います。名前はほとんど師匠につけていただきます。代々受け継がれ何代目というような名前を名跡(みょうせき)と言います。
噺の導入部分をマクラ、間にくすっと笑っちゃうようなことを入れるのはくすぐりと言います。似たようなようなマクラや噺を同じプログラムの中でやることは根多がつくといいます。基本的にやってはいけないことです。寄席では根多帳があってそれを見て決めます。予定時間より過ぎていることをオシテいる、逆に早まってしまっていることはつまっている、高座に出る事を上がる、終わる事は下り(おりる)と言います。こんなことをふまえて寄席を楽しんでみてください。